2008/09/13 10:10

アーバンコーポレイション破綻の実相(下)窮余の調達、不透明な開示。

2008年9月12日、アーバンコーポレイションの最終取引日。今年の負債規模最大の倒産で、多分残り3ヶ月でこれ以上大きいのは出てこないと思われる。

アーバンでがっぽり儲けた人、がっぽり損した人、笑った人、泣いた人、沢山いると思う。歴史を教訓にしたい。

2008/09/13, 日本経済新聞

「再建計画に賛成するかどうかは、あの資金調達の説明次第だ」。八月十八日、アーバンコーポレイションが都内で開いた債権者説明会。参加者の一人がこう息巻いたのは、三百億円の転換社債型新株予約権付社債(CB)についてだ。

この五日前の十三日。民事再生法の適用を申請したアーバンコーポは、CBの発行で実際には九十二億円しか調達していなかったことをあわせて明らかにした。CBの引受先である仏金融機関BNPパリバと「スワップ契約」を交わしていたからで、契約の存在自体も初めて開示した。

資金調達の仕組みはこうだ。アーバンコーポは六月二十六日、パリバを割当先にCBを発行すると発表。払込日は七月十一日で、調達資金は「短期借入金などの債務返済に使う」としていた。市場では資金繰りを不安視する声もあっただけに「ひとまず一息つけたのだろう」(大手運用会社)ととらえられた。

綱渡りのCB

破綻前の公表はここまで。ところがスワップ契約を組み合わせたため、資金の流れは別な形になっていた。まずアーバンコーポがCB発行で払い込まれた三百億円をいったんパリバに戻す。この時点での実際の調達額はゼロ。一方、パリバは引き受けたCBを株式に転換して売却、株価や売買高など決められた条件に応じた金額をアーバンコーポに支払う。アーバンコーポは分割して資金を受け取ることになる。

この仕組みだと株価が高く売買が活発であればアーバンコーポの資金調達が進みやすい。「一週間程度で総額三百億円が振り込まれる想定だった」(宮地典之常務)。だが、誤算が生じた。株価の下落だ。

スワップ契約には、株価が「下限価格」を下回るとパリバが支払いを停止できる内容を盛り込んでいた。CB発行発表時に三百円台だったアーバン株は破綻発表日に六十円台まで下げた。この間、「下限価格」を株価が上回ったのはわずか六日。パリバはCBの一部を株式に転換したが、アーバンコーポが受け取ったのは九十二億円だけだ。民事再生法の申請でスワップ契約が終了し、三百億円の全額調達は計画倒れとなった。

これらの取引の開示は問題含みだった。

当初の発表内容からは、CBの払い込み時点でアーバンコーポが三百億円全額を調達できたと読み取れる。スワップ契約を組み合わせたことで「後払い」による調達になる可能性は全く知らされていなかった。破綻後、会社側は「相対取引であるスワップ契約は開示の対象ではない」と弁明していたが、CB発行とスワップ契約は不可分な取引だったといえる。

頻繁に株取引

スワップ契約の当事者であるパリバの対応はどうだったのか。大量保有報告書によれば、同社グループはCB発行の決議前からアーバンコーポ株を市場内外で頻繁に取得・処分していた。内部では情報隔壁を設けていたとみられるが、決議後にスワップ契約が開示されていない状況でもアーバンコーポ株を売買していたことになる。一部は貸株が絡んだ取引とみられる。一般に貸株を利用した取引は株価下落の際に利益を上げることや損失回避を目的とするとされ、市場で憶測を呼んだ。

最終売買日の十二日、アーバンコーポの終値は一円。ピーク時の二千八百四十六分の一だった。

東京証券取引所は十二日、民事再生法適用を申請したアーバンコーポレイションがCBを発行した際に、仏金融機関BNPパリバとスワップと呼ぶデリバティブ契約を結んでいたにもかかわらず情報開示していなかった件について「不適正な開示だ」とのコメントを発表した。

マーケットの歴史
8868 アーバンコーポレイション 不動産流動化 倒産



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