アーカイブ: 2008年12月22日
トヨタ、71年ぶりの経常赤字、今年度の販売台数計画も引き下げ
~ 車が売れず為替は円高、ダブルパンチで経常赤字のトヨタ、自動車産業は大転換期。 ~
トヨタの下方修正。
ついこの前に減額したばかりだが、今回も大きな下方修正。営業赤字に転落。恐ろしい。
マーケットの噂ではトヨタが営業赤字になるとは分かっていたものの、実際に営業赤字になると何とも気分が落ち込みますな。2兆2000億円もあった利益が1500億の赤字になるわけで、そりゃあ嫌な気持ちにもなりますよね。
トヨタが経常赤字を計上するのは1938年以来の71年ぶり。このような厳しい状況を踏まえて、トヨタのトリプルAの格付はもしかすると引き下げられるかもしれない。そうなれば多少なりとも調達金利は上がることになり、余計な出費がふえますね。
今年度の販売台数計画値は8.5%引き下げられて754万台。
もちろん車が売れないのは大前提としてありましょう。しかし、為替が痛い。
トヨタの場合、1円の円高ドル安で400億円の減益につながる。図は日経新聞より拝借。真ん中の列の数字が1円(対ドル)の動きが半期利益に与える影響額。2倍下数字が通期の影響額って事です。
トヨタの発表資料によれば、通期の為替レートが1ドル100円と1ユーロ143円、下半期が1ドル93円と1ユーロ146円、12月以降では1ドル90円と1ユーロ120円。前期は1ドル114円と1ユーロ162円。
12月以降のドル円レートを90円と思い切ったのは好感がもてますねえ。
図に当てはめて考えれば、今期の為替影響は5600億円。これはドルだけで、その他の通貨は含んでいない。
すぐにトヨタがGMと同じ運命を辿ることはないだろうけれど、自動車産業というのは大転換期を迎えたことは間違いないですな。
ライトオンの11月月次、先月までとは違って弱い数字、株価は?
~ ファーストリテイリングにつられた株価の上がったアパレル銘柄は正念場か。 ~
ライトオンの11月月次。
あら?意外と弱いですな。全店が96.7%、既存店が91.3%。この数字を入れて、今期ここまで全店104.7%、既存店99.1%。
この11月の弱さについて、
前年に比べ土曜日が1日多かったにもかかわらず
株価は堅調。ユニクロにつられる感じで上がりました。もちろん、高値から考えれば酷いものですけど、年初来で40%ほど上がっているし、底値からは倍以上。立派と言えましょう。
今回の月次でどういう反応をしますかねえ。
アセットマネジャーズがトヨタと手を組んだ?
~ 日本で一番手に入れたいトヨタの信頼を強調したい気持ちは理解できる。 ~
アセット・マネジャーズ・ホールディングスのくどいようなプレスリリース。
豊田D&C株式会社との業務提携及びケイ・ティ・ストアマネジメント株式会社(神奈川トヨタグループ)との不動産アドバイザリー契約締結に関するお知らせ
何がくどいって、トヨタを強調繰り返しでくどい。
気持ちは分からんでもない。トヨタと取り引きするというのは、日本企業にとってはステータスであり、信用の証であるからね。アセットマネジャーズとしては、トヨタと手を組んだんですよと声を大にして言いたいわけです。
実際にはトヨタと手を組んだわけでもなんでもない。ちょっとトヨタとつながりがありそうな企業と一緒にビジネスができそうですよ、ってのが実状ですな。
ところで、アセットマネジャーズは世界10本の指に入る投資銀行を目指していたわけだが、その目標は正式に撤回されたのでしょうか?今回のリリースにはこう書かれていますな。
当社グループは、「ASSET MANAGERS」の社名のとおり、不動産を中心とする資産運用ビジネスをコア事業としており、平成20年8月末現在で約4,500億円の受託資産を運用しております。当社グループでは、事業の安定性・確実性を追求し、不動産に関連したフィービジネスに特化することで継続的な収益の獲得を目指しております。
はっきりと不動産屋ですと。投資銀行はやめたのですね。
このプレスリリースに関係なく、株価の動きは激しい。不動産関連銘柄、どれもこれもボラティリティが非常に高いですな。
フジオフードが280円牛丼を販売、まいどおおきに食堂が上向くか
~ 財務、監査法人(優成)、ベンチャーリンク、業績、悪さが目に付くが牛丼が起爆剤になるか。 ~
フジオフードが一杯280円の牛丼を売るという。牛丼に使う牛はオーストラリア産なわけで、これだけ円高が進んだ今、仕入値はぐっと下がりますな。それを消費者還元という形にすると牛丼一杯280円となるわけです。
しかし280円というのは安い。安すぎる。
吉野家やすき家、松屋フーズの牛丼も当然安いのだが、それでも350円~380円。フジオフードの牛丼は食べたことがないので(これから発売?)量と味は分からないけど、牛丼チェーンに比べてそれほど劣るとは思えない。同じボリュームと似たような味で20%も安いのは驚異的だ。
70円という絶対金の大きさより、一杯280円という値段のインパクトはひじょーに強くないですか?私は強いと感じますな。
個人的には牛丼チェーンで食事をすることは年に1度あるかないか程度なので、牛丼使いの人達とは考え方がちょっと違うかもしれない。それを承知で言うならば、牛丼一杯食べただけでは満足できない。何かもっと食べたい。
サラダとかみそ汁とか、ちょっとしたサイドメニューについつい手が伸びるじゃないですか。そういうメニューは、牛丼の安さに比べると意外と安さが感じられない。サイドメニューは高利益率ですな。
マクドナルドには100円バーガーがある。あれは安い。あればかりを注文されるとマクドナルドは全然儲からないらしい。実際には、100円バーガーだけを食べる人は少数で、ドリンクやポテトを注文する。それらが高利益率なので、全体としてうまいこと回るわけ。マックの人はポテトはいかがですか?って聞くのはそういうことですな。
まいどおおきに食堂でも同じじゃないかと思うんです。
牛丼280円だけ食べて帰る人は少数派で、結局何か別の物を食べる。メニュー数は多いので、牛丼がきっかけになってまいどおおきに食堂を使い始める人だっているんじゃないですか?
フジオフードの既存店売上は前年割れが続いている。牛丼が契機になって上向く可能性もありましょう。月次は要チェックですな。
第3四半期までは業績はボロボロ。通期は下方修正されるに違いない。フランチャイズ店が多い割には財務も悪い。
監査法人は優成で気持ち悪い。提携解消したものの、もともとベンチャー・リンクと手を組んでいたのもひっかかる。
悪いところばかり目に付くわけだが、280円牛丼の力が非常に気になる。この不景気のさなか、安さは力なり。消費者は安い物を探している。さて、どうなるか。
11月から急激な景気悪化、外需企業のどん底はまだ先
~ 景気どん底のずっと前に株価は底を打つが、まだその段階にない。ディフェンシブ継続で。 ~
景気が悪いのは分かっています。特に気をつけないといけないのは、11月辺りからの落ち込みが猛烈なスピードだと言うことじゃないですか?
下の日経記事によれば、社長100人で
「急速に悪化している」と答えた経営者は前回調査(十月上旬)の一〇・八%から八六・八%に増えた。
わけです。この数字のジャンプは大きすぎますな。国内主要企業の100人なのだから景況感はよく分かっている人達ですよ。
先日のエントリーで日本電産の状況と信越化学の状況を書いたが、まさに11月からの景気急減速を口にしていますね。
輸出は円高と世界的な需要減でますます鈍くなり失業者は増える。景気の悪化はまだまだ止まりませんな。
世界経済の悪化で、自動車、船、資源、電機、商社、その他もろもろ輸出・外需に頼る企業の株価は厳しい状況が続きます。チャートを眺めてみても、そいうい関連の企業で上がっている株を探すのは難しいんじゃないですか?
もちろんそれら企業の株価は景気が底を打つ前に上昇を始める。景気どん底の半年から1年ぐらい前に株価はどん底ですよ。それが株価は景気を先取りするって言うことですな。
まだもう少し待つべきだと思いますね。
ディフェンシブ、内需の中でも不景気に相対的に強い株、高配当・低PBR銘柄。まだこの辺りを中心に攻めるべきですね。
2008/12/22, 日本経済新聞 朝刊
景気「急速に悪化」86%、設備や人員「余剰」4割(社長100人アンケート)
日本経済新聞社が二十一日まとめた「社長百人アンケート」によると、国内景気が「悪化している」との回答が九九・三%に達した。中でも「急速に悪化している」と答えた経営者は前回調査(十月上旬)の一〇・八%から八六・八%に増えた。設備や人員の余剰感が高まっており、年明けから設備の統廃合や雇用調整が一段と強まる可能性がある。一方で二〇一〇年春の新卒採用は四割以上が〇九年春と「変わらない」と答え、厳しい経営環境の中でも人材を確保する姿勢を示した。
(中略)
国内景気の現状認識として「悪化に転じた」「緩やかながら悪化している」「急速に悪化している」のいずれかを選んだ経営者は九九・三%で、前回調査の九三・五%からさらに増えた。「拡大している」は前回に続きゼロだった。
個別銘柄ウォッチ(2008/12/21)
~ くらコーポレーションが退場、チェルトと神戸物産を新規で追加。 ~
ウォッチ銘柄の材料
・MonotaRoが配当を開始。配当利回りは2%。
・ミネルヴァが第1四半期と自社株買いを発表。9%の自己株で大きい。
・くらコーポレーションが決算発表。業績回復は鈍い。
・ユニバースの東証一部指定が決定。
・バンクテック・ジャパンの11月月次が発表された。
コメント
MonotaRoが5000円の初配を決めて、翌日には株価はそれなりに上昇。その後はダラダラとしているので、買い増しするにはちょうど良いぐらい。権利落ちを待った方が心休まるかもね。
トリドールが直近高値を超えてきました。業績的にはまだまだ強気で大丈夫。出来高が急増しているのでとりあえずは利益確定、ポジション縮小もあり。岡三証券は強気レーティング。
ミネルヴァが第1四半期と自社株買いで急騰。それでも割安さは強い。
チェルトを新規に高配当・低PBR銘柄に追加。現金修正PBRは4.3と全然安くないけど、配当利回りは5.6%と文句無し。ディフェンシブ系で業績安定度は高く、キャッシュフローは豊富なので減配の心配もない。
ハウス食品がレトルト食品の回収をすることになったが、もし急落することがあればトレーディング銘柄として採用。株価が無反応なら手を出さず。
ユニバースの東証一部上場が決まって株価はストップ高の急騰。まだまだ安いけど、急騰の後には急落が来るのが世の常。
くらコーポレーションがいまいちな決算にも関わらず、株価はずいぶん上げた。株価に関わらずくらに魅力が無くなったので退場。
神戸物産をディフェンシブ銘柄に新規追加。配当利回り3%を越えてきた辺りで買い始めたい。
ミネルヴァ・ホールディングスはまだまだ安いのは間違いないが、これだけストップ高を連発した状況では利益を確定したい。買い戻すチャンスはいくらでもある。
物語コーポレーションの押し目が全くなくて非常に悩ましい。